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2021.08.30
目次
普段、時計にあまり興味が無い方だと「腕時計は電池で動くもの」という認識の方が多いと思います。ですが電池式腕時計が登場したのは、ほんの60年ほど前ですので、実は機械式時計の歴史の方が圧倒的に長いのです。
ですが、次第に電池式腕時計の便利さから機械式の腕時計の立場は、「身近なもの」からいつしか「高級品」へと変わっていきました。
ということで今回は、そんなあまり知られていない機械式時計と電池時計(クォーツ)の特徴や違い、メリット・デメリットなど踏まえて、正しい高級腕時計の選び方についてご紹介していきたいと思います。
これから高級腕時計を購入しようと検討されている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
ムーブメントとは、心臓部のこと。つまり、動作機構のことを指します。
そして、腕時計のムーブメントは、大きく分けると「クオーツ式」「機械式(自動巻き)」「機械式(手巻き)」に分けられます。
まずは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて見ていきましょう。
クォーツ式とは、「電池で動く時計」のことを指します。ちなみにクォーツとは「水晶」という意味があり、水晶に電気を流して振動させ、動力源にすることからクォーツ式と呼ばれています。
機械式時計と比べると、クォーツ式の腕時計は誤差が少ない強みがあります。機械式時計は動力源がゼンマイで、「テンプ」と呼ばれる振り子部分の振動するスピードや、重力の関係で日差(一日に生まれる誤差)が±10秒前後発生します。
その点、クォーツ式の時計の誤差は、月差(一ヶ月で発生する誤差)±10秒前後の製品が多いようです。
この誤差の少ない強みから、「普段遣い用の腕時計はクォーツ式が採用されていることが多いです。
機械式時計はゼンマイや歯車などの細かい部品があり、その部品数は、おおよそ100個以上の部品で構成されることが多いです。
一方、クォーツ式の時計の部品数は、おおよそ40個前後の製品が多く、機械式腕時計より大幅に部品数が少ない傾向にあります。そのため、大量生産化しやすく価格が安く抑えられる傾向にあります。
クォーツ式腕時計は機械式腕時計と比べるとメンテナンスが簡単で、長期間メンテナンスをしなくても問題なく使用できます。
もちろん、使い方や使用環境によっては定期的なメンテナンスが欠かせないこともありますが、基本的には機械式腕時計よりも少ない頻度で済みます。
クォーツ式腕時計の最大のデメリットとしては、「ステータスの無さ」が挙げられます。
この点に関しては、様々な意見があるかと思いますが、「量産化しやすい」ということは、「価値が少ない」とも言い換えることができます。
ですが、このステータスに関しては価値観によって重要度が左右されますので、必ずしもデメリットであるとは言えない部分もあります。
手巻きタイプの機械式腕時計の特徴としては、動力源が「巻き上げたゼンマイから生まれる力」にあるという点が挙げられます。
リューズを手で巻くことでゼンマイを巻き上げ、そのゼンマイがほどけることで、力が歯車へと伝わり、秒針が動くという原理になっています。
一方、自動巻きタイプの機械式腕時計は、この手で巻き上げる工程をローターという半円形の部品を搭載することで補っています。
基本的な原理としては、時計を身に着けて体を動かすことで、ローターが回り、ゼンマイが巻きあがることという仕組みになっています。
そのため、腕に着けている限りは、手動でゼンマイを巻く必要がありません。
また、手巻きタイプの機械式腕時計と同じように、リューズ(秒針などを調整するツマミのこと)も備わっているので、リューズを巻いてゼンマイを動かすことも可能です。
ですので、手巻きと自動巻きの違いとしては、「ローターの有無」となります。
自動巻きの時計は人気の時計が多く、高級腕時計がほとんどです。たとえば、ロレックスやオメガ、ウブロといったブランドは、あまり時計に詳しくなくてもご存じではないでしょうか。
他にもタグホイヤーやパネライ、IWCといった有名ブランドの多くが、自動巻きタイプの腕時計を販売しています。
自動巻きのデメリットとして、「分厚くて重い」点が挙げられます。
自動巻きの腕時計は、手巻きタイプにはない、ローターという部品を搭載しています。そのため、手巻きタイプの機械式時計と比べると、部品数が多くなり、厚さや重量が出てしまいます。
ですが、手巻きタイプよりも使い勝手は良いので、実用性は高いと言えます。
手巻きタイプの機械式時計は、自動巻きタイプの腕時計よりも部品数が少ないので「軽くて薄い」腕時計に仕上がります。
フォーマルなシーンで使われるドレスウォッチと呼ばれる時計は、袖口に美しく収まる薄型の時計が良いとされているため、スーツと一緒に身に着けられることが多いです。
フォーマルな場面でステータスのある腕時計を使用したい場合は、手巻きタイプの機械式腕時計がおすすめです。
手巻きの時計の最大のメリットは、資産価値の高さにあると感じます。
最小限の部品で構成される手巻きタイプの機械式時計の多くは、内部構造や部品の美しさが価値となり、高額な値がつけられることがほとんどです。
また、すべて熟練した職人の手で作られるため、作り手の知名度によっても価値がことなります。
ですので、手巻きタイプの機械式腕時計の多くは、腕時計というよりも、美術品に近いような価値を持っていることが多いです。
電池や自動巻きの時計はリューズを巻く必要はありませんが、手巻きタイプの機械式時計は、定期的にリューズを巻かなければ、秒針が止まってしまいます。
時計によっては一度巻いてしまえば、一週間くらいは再度巻く必要が無いものもありますが、基本的には、毎日リューズを巻く必要があります。
リューズを巻く手間が最大のデメリットとして挙げられます。
手巻きタイプの機械式時計の多くは、「三針で革ベルト」という最もシンプルなデザインなものが多いです。
また、ケースサイズも小さいため、好みが分かれるデザインとも言えます。
ですので、手巻きタイプの機械式腕時計の多くは、フォーマルな場面では重宝されるデザインですが、カジュアルな服だと場合によっては合わないケースも出てきます。
また高価過ぎる時計も多いため、そういった点からもカジュアルな場面では利用が少ない傾向にあると思います。
ここまで、ムーブメントの違いについて解説してきましたが、続いては、ケースサイズの違いについてご紹介していこうと思います。
腕時計には、ケースサイズというのもがあり、この大きさによって印象が変わってきます。
もちろん好みでケースサイズを選んで付けることをオススメしますが、ケースサイズによって特徴がありますので、簡単にご紹介したいと思います。
ケースサイズが26mm以下のものをスモールサイズといいます。昔ながらのデザインというよりも、比較的新しいレディース用の腕時計に採用されているケースサイズです。
ロレックスをやブルガリ、カルティエなどをはじめとする有名ブランドのレディースモデルでは、この大きさのケースサイズが多いです。
レディース用の腕時計の場合は、このスモールサイズを選ぶと失敗が少ないかもしれません。
ボーイズサイズは、ケースサイズが34mm前後のものを指すことが多いです。時計販売の経験がある筆者の感覚ですと、年配の男性、もしくは、大きめの時計を付けたい女性の方が選ばれる傾向にあります。
年配の男性からすると38mm以上の時計は大きいと感じられるようで、確かに細い腕だと34mm程のケースサイズの方が腕に似合うことが多いです。
また女性の方で、レディースサイズでは物足りないと感じる方が、このボーイズサイズを選ばれることが多いですね。
男性でも手首周りが細いと感じる場合は、このボーイズサイズを選ぶと失敗が少ないかもしれません。
メンズサイズは、一般的な男性に一番おすすめしたいケースサイズです。
仕事で着用したり、普段使いに向いている大きさで、38mm前後の大きさのケースサイズをメンズサイズと呼ぶことが多いです。
ロレックスやオメガのメンズモデルはこの大きさが多い、これくらいのケースサイズなら、スーツとも相性が良く、また、カジュアルな服装でも違和感なく使用できます。
仕事でスーツを着ることが多い場合は、普段使いも兼ねて、このメンズサイズを選ぶと良いかもしれません。
ラージサイズは、最近の腕時計業界で流行っているサイズです。40~44mm程のケースサイズのケースサイズを指します。
オーデマピゲやパネライ、ウブロなどの人気ブランドでは、44mmといった大きいサイズのモデルも販売されています。
カジュアルな場面で付けることが多く、比較的、大柄な男性におすすめしたいケースサイズです。
腕時計には、ケースの素材の違いがあります。
簡単にではありますが、腕時計で使用されるケースの素材の違いについて、ご紹介していきたいと思います。
近年の時計で、最も多い素材が「ステンレス」です。ステンレスの特徴は名前の通り、汗や雨がついても錆びないという点が挙げられます。その他にも、強度が強く、耐食性もあり、高級感こそ少ないですが、機能面に優れた素材といえます。
ステンレスが普及する前は、腕時計にゴールド(金)が使用されることが一般的でした。
ゴールドは大きく分けると「イエローゴールド」「ピンクゴールド」「ホワイトゴールド」の三種類があります。
「イエローゴールド」は一般的に想像される「金」のことです。ですが、時計に使われる「イエローゴールド」は純金ではありません。
硬度を上げたり、色味を綺麗にするため、純金に銅や銀を混ぜ、純金に比べイエロー色が強いゴールドに仕上げています。
また「ピンクゴールド」は、イエローゴールドよりも銅の割合を増やし、ピンクのような色味にしたゴールドとなります。さりげない輝きや、日本人の肌に馴染みやすい色味を持つため、日本では非常に強い人気を持つゴールドです。
そして、「ホワイトゴールド」は銀やパラジウムの割合が多く、一見してゴールドか分らない素材です。ダイヤとの相性が良い素材なので、ジュエリー色の強い素材となります。
色合い的には、とても上品な素材と言えるでしょう。
プラチナは白金と言われ、ゴールドの上を行く金属とされています。プラチナは、光沢感も最上級で、耐食性も高く加工もしやすい素材です。
ただ採掘量が圧倒的に少なく、とても希少な貴金属となりますので、各ブランドの最高級モデルにのみ使用される素材でもあります。
腕時計のベルトには革ベルトを使用したものがありますが、その素材にも違いが存在します。
それぞれの素材の違いについて見ていきましょう。
クロコダイルはワニの革を使用した素材で、非常に希少性が高く「皮革の宝石」と呼ばれています。
ワニは、かなり珍しい動物であるということと、それを扱える職人が少ないという点から、とても高価な革だとされています。
そのため、高級時計ブランドの革ベルトに採用されています。
アリゲーターもクロコダイルと同じワニの一種ですが、クロコダイルよりもワイルドな風合いが特徴的で、クロコダイルの革よりも美しさが劣るとされています。
そのため、クロコダイルよりも少しグレードが落ちる素材です。
カーフは牛の革のことです。牛革は世界で最も流通量の多い革で、加工もしやすい素材となります。耐久性が強く、コストも抑えられることから、価格が安い傾向にあります。
腕時計のケースには、様々な形があります。そして、その形によって名称が異なりますので、簡単にご紹介したいと思います。
ラウンドは、最も定番なケース形状となります。正円形の形をしており、腕時計として最もオーソドックスな形です。
オーソドックスなデザインのため、フォーマルなシーンでも使用できます。
ケースが長方形の形のことを「レクタンギュラー」といいます。ドレス感が強く、大人の印象があるデザインです。カルティエのタンクシリーズなどでも採用されていて、とても人気なケース形状の一つとなります。
ケース形状が正方形のデザインが、スクエアといいます。正方形は少し奇抜な印象がありますが、主張性が強く、おしゃれな印象を受けます。
フランクミュラーのマスタースクエアなどに採用されていますね。
今、最も人気のあるケース形状の一つです。八角形のケースデザインで、男らしい印象を受けます。
オーデマピゲのロイヤルオーク、ウブロのビックバン、ブルガリのオクトシリーズなどに採用されており、腕時計業界のトレンドと言えるデザインでしょう。
インデックスとは、文字盤に配置されている「メモリ」や「数字などのマーク」のことです。アワーマーカーとも呼ばれています。
そして、このインデックスにも種類が存在しますので、ご紹介します。
最もポピュラーなインデックスのひとつで、インデックスがバーで表示されています。
シンプルなデザインが特徴で、一番見慣れているインデックスではないでしょうか。
アラビア文字がインデックスとして配置されています。アラビア文字は直感的に時間を把握できるので、使いやすいデザインだと感じます。
ローマ数字が配置されたインデックスです。カルティエの時計によく採用されていて、上品な印象を受けるデザインとなります。
「腕時計の針って全部同じじゃないの?」と思っている方が多いと思いますが、実は、針にも種類が存在します。
種類ごとに呼び名が異なりますので、それぞれご紹介したいと思います。
ロレックスで使用される針で、メルセデスベンツのエンブレム「スリーポインテッドスター」に似たマークがあしらわれています。
一説では、「この形状は蛍光塗料が流れ落ちづらいため、使用されている」とも囁かれています。
天才時計師「アブラアム=ルイ・ブレゲ」が創設した高級時計ブランド「ブレゲ」で採用されている針。先端に丸い空洞がついているデザインで、時計好きにはたまらないデザインの一つです。
アロー針は、時計の先端が矢印になっているデザインの針を指します。視認性が良く、ダイビング中にも見ることができるため、ダイバーズウォッチに多く採用されています。
腕時計には時間を見るだけでなく、様々な追加機能が備わって言うものが多いです。
代表的なものをご紹介します。
デイトは、文字盤にその日付が表示される機能です。ロレックスのデイデイトは日付以外にも曜日が表示されます。
クロノグラフは、いわゆるストップウォッチのことです。実際に時間を計測することに使えますので、実用性が高いです。
クロノグラフモデルは、スタートボタンとリセットボタンが付き、インダイヤルも追加されるので。デザインとしても人気です。
ダイビングやマリンスポーツで使用することを目的とした、防水性能を高くしている時計のこと指します。
水深100m以上でも耐えられるよう設計されているものが多く、ものによっては、水深3000m以上にも対応しているダイバーズも存在します。
防水性を高くするためデザインが分厚くなり、その見た目の荒々しさから、男性に人気なモデルが多いです。
GMTは、2~3か国の時間を確認することができる機能を指します。世界を飛び回るビジネスマンに重宝する機能で、いちいち時差を計算する必要がありません。
GMTの時計にはGMT針が追加されるため、そのデザインが好きで所有される方も多いです。
今回はムーブメントの違いやケースサイズ、材質の違い、デザインや機能面の違いなど、様々な違いについてご紹介しました。
この記事で紹介した時計選びで最も大切な部分は、「ムーブメント」選びとなります。
ムーブメントの種類によって、メリットやデメリットが存在しますので、それぞれの特徴を見極めて、皆さんの用途にあった腕時計を選んでみてください。