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応援消費が広がる時代。ハイブランドを購入する基準も新たな変化へ

2024.10.11

「応援消費ってどういうこと?世間の人たちがハイブランドを買う基準が変わった理由も知りたい!」

消費行動を通じて人や企業を応援する『応援消費』。

言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういう行動を指すのか詳しく知らない人もいるでしょう。

そういうわけで今回は、『応援消費』を中心にお話していきます。

また、人々がハイブランドを購入する基準がどのように変化しているのかということも取り上げるので、ぜひ参考にしてみてください。

応援消費とは?

応援消費とは、消費行動を通じて困っている人や企業を支援することです。

単に商品やサービスを購入するだけでなく、生産者や提供者にエールを送る意味が含まれている新しい消費スタイルを指します。

言葉自体を知らなくても、実は応援消費をしていた人もいるのではないでしょうか。

応援消費は募金やチャリティーイベントに参加するのとは違い、必ずしも「支援している」という自覚がなくても成立するところが特徴。

今では、多くの人に浸透している概念だといえるでしょう。

応援消費が注目を浴びるようになった背景

ここからは、応援消費が注目を浴びるようになった背景を以下のとおりお話していきます。

  • 最初は東日本大震災がきっかけだった
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大
  • SNSで気軽に情報を得られる時代だからこそ

それぞれ掘り下げていくので、さっそく見ていきましょう!

最初は東日本大震災がきっかけだった

東日本大震災は、2011年3月11日に発生しました。

2024年現在、地震からすでに10年以上が経過していますが、誰にとっても忘れられない未曾有の災害です。

大きな地震の後、ほどなくして起こった津波と福島での原発事故。

東日本大震災による東北地方の被害は極めて甚大で、多くの人々が家族を失い路頭に迷ったのは周知の通りです。

原発事故の風評被害により、福島や周辺地域原産の商品が売れなくなったことも地元の人々の生活に大きく影響しました。

そのような状況の中で、全国的に高まりを見せたのが応援消費だったんですね。

「東北産のものを買って、被害に遭った人々や地域を応援しよう」

こうした流れにより応援消費が注目を浴び、社会の中で浸透していくきっかけとなりました。

新型コロナウイルス感染症の拡大

新型コロナウイルスも、応援消費が注目を浴びるようになったきっかけのひとつです。

いわゆる「コロナ禍」で、私たちはかつて経験したことのない世の中の混乱を体験しました。

外出自粛や休業要請により、一般の販売店や飲食店など主に対面で活動を行う業態は営業停止に追い込まれましたよね。

そのような状況下で活発になったのが応援消費。

「困っている人たちを助けたい」という想いにより、応援消費が再び注目を集めることになりました。

SNSで気軽に情報を得られる時代だからこそ

SNSで気軽に情報を得られる時代だからこそ、応援消費が広がった背景があります。

多くの人がスマホを持ち、SNSで気軽に情報収集できる昨今。

社会的な動きや状況はもちろん、さまざまな人の行動や考えを知る機会も格段に増えました。

自然災害や社会情勢が原因で売り上げが下がった人たち以外にも、多くの企業が各自の活動を発信しているんですね。

情報発信には、SDG’sへの貢献や企業の歴史なども含まれます。

ハイブランドも例外ではなく、普段消費者があまり知るきっかけがないような情報を公開しているんです。

さまざまな発信を見て、「応援したい」と思う消費者もいるでしょう。

このように、消費者がSNSで情報を得て応援消費をする流れも一般的になりつつあります。

応援消費の特徴

ここからは、応援消費の特徴を以下のとおりお伝えしていきます。

  • SNSで発信・受信しやすい
  • 高い満足度
  • ストーリー性がある

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

SNSで発信・受信しやすい

応援消費の特徴のひとつに、「SNSで発信や受信しやすい」点が挙げられます。

時にSNSが起点になり、そこから大きな応援消費の流れになっていくことがあるんですね。

たとえば、災害により客足が途絶えてしまった店舗が窮状をSNSで訴え、それを見たユーザーが関連商品を買うとします。

そしてユーザーが購入したことをSNSで発信し、それがまた別の人の目に留まることもあるんですね。

このようにして、応援消費がどんどん広がっていきます。

また、SNSを通してブランドの活動やエシカル(倫理的)な行動を知る機会が増えました。

ハイブランドを含む多くの企業や組織が、SNSで積極的に自分たちの考え方や活動を共有する時代です。

このような状況下でハイブランドの支援活動や社会貢献活動を知り、応援消費をする人も。

意識したことはなくても、応援する気持ちで消費している人もいるかもしれません。

以下に、応援消費につながる例を2つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

◆GUCCI|東日本大震災被災児童を支援する日本限定チャリティブレスレット( 2015年4月)
Web Openers

上記は、「好きなブランドが災害や文化財の復興支援をしているので、その動きを応援したい」という人が集まってきました。

◆トッズ、伊コロッセオ修復の全費用負担へ(2010年12月)
VOGUE Japan

こちらは、「トッズの哲学に共感し、応援したいと思うので製品を買う」という消費者の行動につながります。

このように、SNSを通じてさまざまな企業が自社の行動を世間に知らせているんです。

高い満足度

応援消費の特徴として、「高い満足度」も挙げられます。

現代は多くのモノにあふれているため、あまり困ることはありません。

だからこそ、単純な消費行動に飽きている人が多いんですね。

つまり、ただ消費すること自体があまり意味をなさない時代になってきているといえるでしょう。

そのため、以下に挙げるような消費行動を求める人が増えてきました。

  • 誰かを支援するためにそのお店や人から買いたい
  • モノを得ることよりも体験や思い出を重視したい

これらの意味付けにより、満足感を得られるんです。

このように、応援消費はユーザーの満足度を高めるための消費行動だと言ってもいいでしょう。

ストーリー性がある

応援消費には、ストーリー性が消費者の心を動かすという特徴があります。

ここで具体的に、「ストーリー性」の例を挙げてみます。

  • 製品やサービスを次世代につなげていく物語
  • 被災地の生産者が再起をかけて商品を作る物語
  • 企業やブランドが誕生した歴史
  • まだ世に知られていない優れた商品を広める物語

消費者がこれらのストーリーを知ることで心が揺さぶられ、「応援したい」という気持ちになるんです。

どんな商品にも誕生した背景や歴史があります。

それらのストーリーを世間に知らせることで、消費者が共感し臨場感を得られる点が応援消費の大きな特徴だといえるでしょう。

応援消費の種類

ではここで、応援消費の種類を5つお伝えしていきます。

  • 生産された商品を購入する
  • 場所で消費をする
  • 推し活で応援する
  • 金銭的な支援をする
  • 自分自身を応援する

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

生産された商品を購入する

最もわかりやすい応援消費が、「生産された商品を購入する」です。

東日本大震災の被災地の風評被害が顕著だった時、現地で生産された商品を購入する「応援消費」が活発に行われました。

一例を挙げると、以下のとおりです。

  • 風評被害を受けて売れずに残っている農産物や海産物
  • 消費が伸びず廃棄になってしまう食料品
  • 観光客の予約キャンセル等で行き場を失った特産品

特に衣食住に関わる商品は、多くの人にとって一番手に取りやすいのではないでしょうか。

そのため協力しやすく、リピートもしやすい最もポピュラーな応援消費の種類だといえます。

場所で消費をする

場所で消費をするのも、応援消費の種類のひとつです。

たとえば、災害などがあった土地を旅行で訪れて消費活動を行うというアクションが挙げられます。

コロナ禍以後、政府による支援で各自治体が旅行キャンペーンを行ったのは記憶に新しいところ。

この割引を利用して、観光地を訪れた人もいるのではないでしょうか。

また、2024年元旦の能登半島地震で落ち込んだ旅行需要を喚起する「いしかわ応援旅行割」も現在実施されています(2024年9月現在)。

旅行が好きだったり、時間的余裕があったりする人におすすめの手段です。

推し活で応援する

推し活も、応援消費のひとつに挙げられます。

「推し」とは、人に勧めたいと思うほど好感を持っている人物やモノのことです。

単に「好き」という気持ちだけではなく、「おすすめ」というニュアンスが込められているところが特徴。

応援しているアイドルグループのメンバーを意味する「推しメン」という言葉が流行ったように、主にアイドルやアニメ・ゲームのキャラクター、俳優、アーティストに使われます。

推し活をする人にとっては、推しの存在自体が活力なんですね。

そのため彼ら彼女らに関わるモノやコトを消費するのも、立派な応援消費になるんです。

たとえば推しがアンバサダーを務めるブランドの商品を購入することも、推し活に含まれます。

このように、気に入った人やモノに染まることが推し活の本質でもあるんです。

金銭的な支援をする

金銭的な支援も、応援消費に含まれます。

代表的な支援方法は以下のとおりです。

  • クラウドファンディング(※)
  • ふるさと納税

最近では企業・組織に関わらず、起業を目指している個人や創作活動をしているアーティストなどさまざまな人が応援を募るためクラウドファンディングを行っています。

クラウドファンディングでは、起案者の想いやストーリーを存分に発信できます。

それに共感した人が金銭的支援を行うという、近年注目されている方法です。

また、現在では広く普及しつつあるふるさと納税も、金銭的支援をするという意味で応援消費にあたります。

任意の自治体を選ぶことで、金銭的な支援ができる仕組みです。

このように、応援したい相手に直接お金を払うことも、一般的な応援消費の種類になります。

※クラウドファンディング:群衆(crowd)と資金調達(funding)を組合せた造語。取り組みたい活動、企画、アイデアを持つ人が、インターネットにプロジェクトページを掲載。活動への想いを社会に呼びかけ、不特定多数の人から資金を集める仕組み。

自分自身を応援する

自分自身を応援するという切り口の消費も、応援消費に含まれます。

厳密にいうと、人や企業を応援するものとは少し性質が異なるかもしれません。

ですが、普段頑張っている自分へのご褒美として特別なものを購入する行為は、単なる買い物とは違い、しっかり意味を持っているといえるでしょう。

たとえば、災害で甚大な被害を負った地域に特産物があったとします。

普段なら買わないけれど、自分のためにその特産物を買えば、地域の応援を含めた「応援消費」ができるんです。

応援することによって満足感も得られ、自分の活力ともなる消費スタイルだといえます。

ハイブランドを買う理由はただの”ステータス”ではなくなった

かつては、ハイブランドのアイテムを持つことは一種のステータスでした。

現在もそのような考え方を持っている人はいますが、どちらかと言えば少数派で時代の変遷とともにその意味合いは薄れつつあります。

なお、ステータスではなくなった背景のひとつに、「社会的構造の変化」が挙げられます。

現在は年功序列や終身雇用はもはや時代遅れになっており、それに伴い賃金体系も変化しているんですね。

SNSやYouTubeで報酬を得る、インフルエンサーやユーチューバーと呼ばれる人も出てくるなど、お金の稼ぎ方が変わってきています。

そのため、10代や20代でも大きな収入を得る人が増えました。

つまり、ハイブランドの商品は「いつか買いたい憧れのもの」という位置づけではなくなったんです。

むしろ、買いたいものは今すぐ買うという感覚の人が多いかもしれません。

海外直輸入やネットオークション、メルカリなど昔に比べて誰でも気軽にハイブランド品が手に入る環境も影響しているでしょう。

このように、ハイブランド品を持っているからといってステータスの証ではないんです。

それよりも、「ブランドを応援したい」「ブランド哲学に共感できる」など、消費することにプラスした意味合いを大事にしている人が増えています。

あえてブランドを買う理由やブランドを選ぶ意味をしっかり認識したうえで買うのが、今のトレンドなんです。

まとめ

今回は、応援消費を中心にお話してきました。

応援消費はハイブランドにとっても例外ではなく、応援が目的で購入する人がいる時代です。

また、ハイブランドを持つことがステータスだった時代は終わり、何かしら意味づけをして購入する人や、応援消費の一環として買う人も出てきている昨今。

これが現代のトレンドだということがわかりました。

私たちにとって身近な消費活動である「買い物」の意味を、改めて考える機会にしてみてもいいかもしれません。