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サヴォアフェールとは?ブランドを未来につなぐ匠の技について解説

2024.10.18

「最近ラグジュアリーブランドでサヴォアフェールってよく聞くんだけど、どういう意味なんだろう?」

「伝統的な匠の技」という意味のフランス語である『サヴォアフェール』

耳にしたことはあっても、実は言葉の意味をよく知らないという人は多いのではないでしょうか。

  • サヴォワフェールって、そもそもどういう意味?
  • なぜラグジュアリーブランドはサヴォワフェールという言葉をよく使うの?
  • サヴォワフェールが大切にされている理由は?

など、知りたいことも多いはず。

そこで今回は、『サヴォアフェール』を詳しく解説していきます。

また、主要なラグジュアリーブランドがサヴォワフェールを大切にしている状況や活動についてもお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

サヴォアフェールとは?

サヴォアフェールは、フランス語由来の言葉です。

まず、言葉の定義をご紹介しましょう。

サヴォアフェール(Savoire faire):フランス語の「savoire(知る)」と「faire(作る)」を掛け合わせて誕生した言葉は、一般的には「匠の技」などと表現されます。重要なのは、「匠」という言葉に潜んでいる「長年の歴史」というニュアンス。「長年の歴史により培われた、職人技と独自の美意識、そして審美眼」くらい深い意味を持つ言葉と捉えるのが良さそうです。
引用元:WWDJAPAN

サヴォアフェールは、単に「技」や「ノウハウ」という言葉以上に深い意味を持っているんですね。

「伝統や歴史に培われ、長く継承されてきた技」
「職人技とその美意識、審美眼」

上記のようにも表現されます。

日本ではフランスやイタリアの、主に職人を抱えるラグジュアリーブランドでよく使われています。

しかし本国フランスではラグジュアリーに限らず、歴史ある産業やブランドでも用いられる言葉なんです。

フランスならではのエスプリ(精神)が感じられる奥深い言葉であり、概念でもあります。

POINTフランス語のため、ブランドによって「サヴォアフェール」「サヴォワフェール」など表記が異なる場合がありますが、エココラムでは「サヴォアフェール」と表記します。

サヴォアフェールを大切にしているラグジュアリーブランド5選

無形の文化遺産とも言える「サヴォアフェール」。

ラグジュアリーブランドにとっても、それは例外ではありません。

長い歴史を持ち、職人とその技に支えられてきたラグジュアリーブランドは今でもサヴォアフェールを継承し続けているんです。

そこでここからは、サヴォアフェールを大切にしているラグジュアリーブランドを以下のとおり5つご紹介していきます。

  • ルイ・ヴィトン
  • シャネル
  • エルメス
  • ディオール
  • カルティエ

それぞれ詳しくお伝えするので、さっそく見ていきましょう。

ルイ・ヴィトン

創業者自身が職人だった経緯を持つ『ルイ・ヴィトン』

1854年の創業以来、サヴォアフェールは長い歴史の中で培われてきました。

サヴォアフェールを守っていくことはブランドの永続的な発展には欠かせず、継承していくのが責任でもあると語っています。

これはルイ・ヴィトンにとって、サヴォアフェールは単に製品を作り出すためのものではなく、ブランドの文化と認識している証だといえるでしょう。

なおルイ・ヴィトンは、フランス政府認定のEPV(無形文化財企業)ラベルを取得しています。

このラベルを取得するには、以下に挙げるような基準を満たす必要があるんですね。

  • 伝統的および高度な技術の習熟
  • サヴォアフェールの実践

こうした活動からも、彼らがサヴォアフェールを「文化」ととらえ、社会的責任を持ち取り組んでいることがうかがえます。

シャネル

オートクチュール(高級仕立服)部門を持つ『シャネル』も、サヴォアフェールを永続的に継承しようと注力しているブランドのひとつです。

シャネルには以下のとおり、幅広い分野の職人が所属しています。

  • 刺繍
  • 羽根細工
  • 装飾具
  • 金細工
  • プリーツ
  • 帽子
  • グローブ
  • 製革

オートクチュールで培われてきたフランスの伝統的な手仕事を継承していくため、1980年代から上記の分野の工房を傘下に収めてきました。

シャネルは、職人の技術と手仕事を結集した「メティエダール(※)コレクション」を毎年発表しています。

(※メティエダール(Métiers d’Art):直訳すると「匠の芸術」を意味するフランス語。「芸術的な手仕事」のようにも訳されます。)

このメティエダールはブランドのDNAであり、将来へつながる大切な柱と考えているシャネル。

2022年には傘下の工房を集めた「le 19M」という施設をフランス・パリ19区に設立しました。

le 19Mでは、これまでと同様に職人が作業するのはもちろん、サヴォアフェールの継承を目的に若手職人の育成も行われています。

エルメス

『エルメス』は、創業者ティエリ・エルメスが馬具職人からスタートしたブランドです。

そのため彼らも、創業時から継承される伝統的な職人技「サヴォアフェール」を守り続けています。

フランス国内各地にアトリエが点在するエルメス。

各アトリエに、フランス国民教育省の認可を受けた研修機関「エコール・エルメス・デ・サヴォアフェール」を設置しているんです。

研修機関では、制作に携わる職人がノウハウや専門知識だけではなく、職人技に対する「情熱」も継承するための研修を行っています。

さらに、国家資格である皮革製品職業適性証の取得者は、エルメスグループの皮革製品アトリエに職人として加わることも可能。

サヴォアフェールを継承し新しい人材を育て、雇用の機会も創出しているんです。

商業的な側面だけではなく、社会的責任を視野に活動していることが見て取れます。

ディオール

1947年、クチュールメゾン(※)としてスタートした『ディオール』

(※クチュールメゾン(couture maison):仕立て服、注文服を扱うブランド、会社。フランスのファッションブランドでは、自分のブランド・会社を指して「メゾン」という表現が頻繁に使用されます。)

オートクチュールドレスは多くの職人が関わり、緻密で丹念な作業を積み重ねて作り上げられるものです。

ディオールのテーラリング(仕立て)は、まさにサヴォアフェールの結晶といえるでしょう。

今では幅広い分野で製品を展開するディオールでは、以下のカテゴリーでもサヴォアフェールが商品に生かされ、継承されています。

  • ハイジュエリー
  • フレグランス
  • カトラリー

またディオールは、2022年に今後10年間の地球規模の環境問題に対処し、透明性を向上させる取り組みとして「BEAUTY AS A LEGACY 2030」計画を発表しました。

地球規模の問題に対処するものの中に、「サヴォアフェール(長く続く匠の技)の保護と発展」も柱の一つとして掲げられています。

カルティエ

精巧で美しいハイジュエリーを生み出し続ける『カルティエ』

カルティエのアトリエには、以下に挙げるとおり数多くの専門職人が共に働いています。

  • ストーンの専門家
  • 彫刻職人
  • ジュエリー職人
  • 研磨職人
  • 石留め職人
  • 宝石細工職人
  • グリプティック(宝石彫刻)職人
  • 鋳造職人
  • 糸通し職人
  • ラッカー職人
  • 時計職人
  • 指輪職人

才能と熟練した技術・最新の技術を巧みに取り入れながら、ブランドの品格にかなう製品を生み出す職人たち。

カルティエは、まさにサヴォアフェールで成り立っているブランドです。

サヴォアフェールは、次に挙げるジャンルの製品に生かされています。

  • ジュエリー
  • ウォッチ
  • レザーグッズ
  • フレグランス

カルティエは、「サヴォアフェールを守り抜く使命がある」と語っているんですね。

2002年に創設された『カルティエ ジュエリー インスティテュート』は、継続的な研修とジュエリー専門職の振興に取り組んでいる機関。

サヴォアフェールの伝達と継承に注力し、希少な職人技を守り続けています。

一般の人にサヴォアフェールを感じてもらうための試み

歴史あるフランスのラグジュアリーブランドで、脈々と受け継がれてきたサヴォアフェール。

サヴォアフェールは、いわば「無形の文化」なんですね。

途絶えてしまえば、再生させるのが難しい価値でもあります。

そしてラグジュアリーブランドの価値は、デザイナーの個の才能だけでは成り立ちません。

長い時間の中で培われ、受け継がれてきたサヴォアフェールと合わさって初めて、ラグジュアリーブランド本来の価値が生まれます。

唯一無二の価値を感じてもらうために、ラグジュアリーブランドではサヴォアフェールに触れられる機会や場所が企画されるようになってきています。

たとえば前項で取り上げた、シャネルの「le 19M」では、ギャラリースペースやカフェも併設。

訪問者が職人技に触れたり体験したりなど、楽しめる施設としても機能しています。

また日本でも、ラグジュアリーブランドのサヴォアフェールを体験する機会は増えているんです。

以下にいくつか例をあげるので、見てみましょう。

◆ルイ・ヴィトン「サヴォアフェール イベント」2022年7-8月
世界一周旅行をテーマにした展覧会(PR TIMES

◆「エルメス・イン・ザ・メイキング」展 2022年11月
エルメスの職人が来日し、実際にサヴォアフェールに触れものづくりをありのままに体験できる展覧会(Hermès

◆「TIME UNLIMITED – カルティエ ウォッチ 時を超える」2023年9-10月
カルティエ ウォッチメイキングの重要なビジョンである「パイオニア精神」、「フォルム」、「デザイン」、「美を支える技術」に光を当てた世界巡回展。
時計制作のかかわるサヴォアフェール(職人技)のエピソードにも触れられたイベント(PR TIMES

これからも、この試みは続いていきそうです。

このように、一般の人がバッグの製造工程や技に触れることは、納得して製品を購入するための強いモチベーションになっているといえるでしょう。

フランスには「サヴォアフェール観光」もある

サヴォアフェールの価値を認識しているのは、ラグジュアリーブランドだけではありません。

フランスの国や自治体も「今に生きる遺産」としてサヴォアフェールを認識し、「サヴォアフェール観光」に力を入れています。

サヴォアフェール観光とは、サヴォアフェールを持つ工房や工場で優れた製品が製造される様子を見学する文化観光のことです。

この観光はフランス人や外国人にとって、フランスを知る魅力的な新しいもの。

2018年には、実際に1500万人の観光客が2000社を見学しました。(参考:フランス観光開発機構

サヴォアフェールがラグジュアリーの分野だけでなく、フランスという国で文化・遺産としてとらえられ、継承されていく動きが見て取れます。

まとめ

今回は、ラグジュアリーブランドでよく使われる『サヴォアフェール』について解説してきました。

フランス語由来のサヴォアフェールは、「匠の技」と訳されます。

長い歴史に基づいた伝統や価値観、美意識……そんな深い意味のある言葉でした。

また、サヴォアフェールを大切にしているラグジュアリーブランドを以下のとおり5つご紹介しています。

  • ルイ・ヴィトン
  • シャネル
  • エルメス
  • ディオール
  • カルティエ

それぞれのブランドでサヴォアフェールの価値を認識し、継承していることがわかりました。

さらに、サヴォアフェールを無形の文化や価値として一般の人に知ってもらう機会も増えています。

その素晴らしさを知ったうえで、製品の購入につながるケースが多いんですね。

サヴォアフェールの価値はラグジュアリーの世界だけではなく、フランス全体でも認識され工房や工場を見学する「サヴォアフェール観光」にも力が入れられています。

あなたが欲しいと思っているラグジュアリーブランドのアイテムにも、サヴォアフェールの技が生かされているかもしれません。

今回の記事を参考に、サヴォアフェールを意識しながらブランドアイテムをチェックしてみてください。