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2023.08.31
目次
腕時計がいつもより進んでいる、遅れているといった場合に考えられるのが磁気帯びです。
腕時計はムーブメントが金属でできているため、磁気の影響を受けやすい特徴があります。強い磁気にさらされた金属は磁力が移ってしまい、腕時計の精度が狂ってしまいます。
さらに、私たちの身の回りには磁気を強く発している製品がたくさんあるため、知らない間に腕時計を近づけてしまい、磁気帯びをしてしまう事例が多くあります。
この記事では、磁気帯びの原因と対策について解説します。磁気帯びを避けるための対処法も紹介していますので、腕時計を長く使いたいという方は参考にしてみてください。
腕時計の磁気帯びと、症状について解説します。
磁気帯びとは、腕時計内部の部品が磁気を持ってしまい部品同士が引き寄せ合ったり反発し合ったりして、精度不良が起こるトラブルを指します。
腕時計のムーブメントはほとんどが金属でできていますが、金属には強い磁気が近くにあると、その磁気が金属に移るという性質があります。
磁気が移った金属は、磁石のように金属同士がくっついてしまいます。これを磁化と言います。時計の部品が磁化してしまうと部品同士がくっつこうとしたり部品の位置がずれてしたりしてしまいます。
また磁気帯びは機械式時計に限らず、クォーツ(電池式)時計でも発生します。
「磁気帯びは機械式時計だけに起こる現象なのでクォーツ時計は大丈夫」と勘違いしている方もいますが、そんなことはありません。
磁気帯びの症状としては、時計の遅れや進み、動かなくなるといった現象が見られます。
機械式時計の場合、時計の精度を司るヒゲゼンマイという部品が磁化すると、部品をくっつけようとしてしまいます。
ヒゲゼンマイは、金属の細い渦巻状の線であり、それが伸縮を繰り返すことで、他の部品や歯車に力が伝わり、正確な時を刻みます。
しかしヒゲゼンマイが磁化すると、伸縮がうまくいかなくなってしまいます。
そして他の部品に力がきちんと伝わらなくなり、時計の精度が狂ってしまいます。クォーツ時計の場合、電池のエネルギーを正確なペースで駆動コイルに電流を送ることで時計を動かしています。
そのため、機械式時計よりも磁気の影響は受けづらいですが、磁気帯びしないわけではありません。磁力を発する製品にが近くに長時間あると、動かなくなったり動きが乱れたりします。
ちなみに、カシオのGショックやアップルウォッチなどデジタル時計は、磁気帯びの影響を受けません。
腕時計の精度がずれている、動かないなどの症状が出た時、磁気帯びも考えられますが、当然他の原因も考えられます。
腕時計が磁気帯びしているか確認するには、ガウスメーターという専用の機械を使う方法があります。
しかし、このような機械は家庭で用意するのは厳しいと言えるでしょう。
もっとも簡単な方法としては、方位磁石を近づけるという方法があります。腕時計が磁気帯びしていれば、近づけた方位磁石の針が動いてしまいます。
この方法は簡易的な方法のため、きちんと検査したい方は、時計修理店に持ち込んで専用の機械で検査してもらいましょう。
腕時計の磁気帯びの原因は、強い磁気を発する製品の近くに時計を置いてしまったことです。強い磁気を発するものとして、次の製品があげられます。
これらの製品に腕時計を近づけてしまうと、磁気帯びの原因となります。
ノートパソコンの上に腕時計を置く、スマートフォンと一緒に腕時計をポケットに入れる、カバンのマグネット式の留め具近くのポケットに腕時計を入れるといった、何気ない講堂でも腕時計は磁気帯びしてしまいます。
磁気を発生している製品から、腕時計を最低でも5cmは離すようにしましょう。
磁気帯びの症状が出た腕時計の対処法について解説します。
磁気を帯びてしまったからといって、腕時計が全く使えなくなるわけではありません。磁気帯びの修理である「磁気抜き」作業を行えば、元通り使用できます。
磁気貫作業は脱磁とも呼ばれており、軽度であれば専用の機械に腕時計を置くだけで磁気を抜くことができます。
しかし、長い間磁気にさらされていた場合、一つ一つの部品を分解して、磁化した部品の磁力を専用の機械で抜く必要があります。
腕時計を販売する店舗によっては、アフターフォローの1つとして磁気抜きを無料で行っている専門店もあります。
家庭でも、市販の磁気抜き機を使えば脱磁できますが、慣れていないと反対に磁力をより強く帯びてしまうという自体にもなりかねません。
そのため、よほど慣れている方以外は、メーカーや時計修理店に持ち込むようにしましょう。
「これまでに何度か腕時計を磁気帯びしてしまった」「磁気が多い環境で腕時計を着用する」という場合には、磁気に強い高耐磁時計を使うようにしましょう。
高耐磁時計は、ムーブメントを磁気から守るインナーケースを採用したり、部品を磁気の影響を受けないシリコン製にしたりすることで、磁気が近くにあっても磁気帯びしない設計になっています。
高耐磁時計で有名なものではロレックスのミルガウス、IWCのインヂュニア、ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズなどがあります。
ISO(国際標準化機構)により20ガウスの耐磁性が義務付けられているため、一般的な時計にも耐磁性はあります。これは一般的な日常生活でさらされる磁気に耐えられる磁力を想定し作られています。
JIS(日本工業規格)では、耐磁2種として約1万6千A/m(200ガウス)が定められています。
スマートフォンのスピーカー部分の磁力は1万5千A/m程度で、高耐磁時計であれば磁化することなく使用ができます。
磁気帯び対策として気をつけたいことを紹介します。
腕時計の磁気帯びの原因は、磁気を発する製品に腕時計を近づけたことがあげられます。
磁気は目に見えないため、腕時計を外した際に磁気を発する製品の近くに置いてしまい、磁気帯びするということもよく起こります。
そのため腕時計は必ず、磁気を発する製品から5~10cmは離すようにしましょう。また磁気を発する製品には、一部にとくに強い磁気を発しているところがあります。
例えば、スマートフォンのスピーカー部分です。この部分は、スマートフォンのなかでも一番強い磁気を発している部分になるので、絶対に近づけないようにしましょう。
腕時計を磁気帯びさせないためには、磁気に近づけないことが一番ですが、そのためには保管場所にも気をつける必要があります。
磁気から離れた安全な場所を保管場所として決めておくのがもっとも良い方法です。
保管場所を決めておかないと、腕時計を外したときに近くに磁気を発する製品があるリスクがあります。
そうすると、腕時計が長時間磁気にさらされることになってしまいます。また、保管場所を決めておけば、腕時計を失くしたり外出前に慌てて探すといったことなく、すぐに身につけることができます。
おすすめは時計の収納ケースに保管する方法です。
時計の収納ケースはいくつか種類があります。時計保管のために作られたコレクションボックスであれば、湿気や日光、水分や埃など腕時計に悪影響を及ぼすものから守ってくれます。
コレクションボックスは、1本から複数本、5~10本など、時計の数に応じてさまざまなサイズがあるためお手持ちの腕時計の数に応じて適したものを選ぶと良いでしょう。
また、自動巻き時計をお持ちの方におすすめなのが、ワインディングマシーンです。ワインディングマシーンは、腕時計をしまうと収納部がゆっくりと回転し自動巻時計のゼンマイを巻き上げてくれます。
このとき自動巻き時計の巻き上がり方向を確認してワインディングマシーンに設置するようにしましょう。
例えば、左巻きの自動巻き時計の場合、ワインディングマシーンに乗せる時は左側に回転させるようにセットさせる必要があります。
今回は、磁気帯びの原因と対策について解説してきました。腕時計については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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