知恵袋ブログ
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2024.08.13
目次
新品・中古を問わず、人気の衰えないルイ・ヴィトンのバッグ。
洗練されたデザインと高い機能性で、今も多くの人々に愛用されています。
高品質な素材で丈夫な作りのルイ・ヴィトンのバッグですが、正しいお手入れ方法を知っている人は意外に少ないかもしれません。
お気に入りのアイテムは、良い状態で長く使いたいものですよね。
適切にお手入れをすれば、長く愛用できることはもちろん手放すことになった場合も高い価値が付くでしょう。
そこで今回の記事では、普段のお手入れ方法や正しい保管の仕方について解説していきます。
すでに愛用している人や、これから購入を検討している人もぜひ参考にしてみてください。
一言でレザーと言っても、バッグなどのファッションアイテムで使われる革の種類は多種多様です。
奥深いレザーの世界ですが、まずは簡単に基礎知識をおさらいしておきましょう。
レザー商品の皮革は、牛、豚、馬、山羊、羊から、エキゾチックレザーと呼ばれるトカゲやワニなどを含む動物の革まで多くの種類があります。
同じ牛でもカーフレザーと言って生後6ヶ月以内の子牛の皮を使用したものや、カウハイドレザーと呼ばれる生後2年以上の出産を経験した牝の成牛革、加工方法によって、同じ動物の革でも「ヌメ革」「本革」と呼ばれ方が異なる場合もあります。
一般的には“なめし”などの加工がされていない状態を「皮」、加工された状態を「革」と呼び、区別されています。
お手入れや正しい保管方法を知るにあたって、どんな素材が使われているのか、またその特性を知っておくとその後のお手入れにも役に立ちます。
ここでは、ヴィトンのバッグで使われているレザーの種類を見ていきましょう。
ヌメ革とは
ヌメ革とは、植物由来の成分であるタンニン(※1)を使用してなめされた(※2)皮革のことです。
※1 タンニンとはポリフェノールの一種で、赤ワインや茶葉、渋柿などに含まれる渋み成分のことです。
※2なめす(鞣す)とは、動物の生皮から不要なたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品で処理して、耐久性・耐熱性・柔軟性をもたせることです。
ヌメ革は、原材料となる革もなめしに使われるタンニンも天然素材。
着色も行われないため、自然な風合いが楽しめる革です。
タンニンでなめされるこの「タンニンなめし」は、古くから伝統的に行われてきた手法です。
使用前は革の繊維が締まっており硬く丈夫ですが、使っているうちに手や肌に馴染んで柔らかくなり、手の脂や熱、光などの影響で色や素材自体が味わい深くなっていきます。
この独特の経年変化(エイジング)を楽しめるのも、ヌメ革の魅力の一つです。
表面加工がされていない
型押しなどの表面処理がされていないのもヌメ革の特徴の一つ。
表面に見られる“すじ”や“しわ”は天然皮革ならではもので、時間の経過とともにその風合いも変わり、深みを増します。
そのため革本来の良さや質感を感じられる一方、傷が付きやすく水や汚れに弱いという点もあります。
また、ヌメ革のほとんどは牛皮から作られています。
最初に、ヌメ革との違いを説明しておきましょう。
ここで紹介するカーフレザー・カウハイドレザーは、「牛の皮」の種類になり、加工方法による種別ではありません。
一方、本革の中でもタンニンでなめされ、表面加工が施されないものを「ヌメ革」と呼び、ほとんどが牛の皮から作られています。
この本革の中にもさまざまな種類がありますが、その中での素材の種別としてカーフレザー・カウハイドレザーがあります。
カーフレザーは生後6ヶ月前後の仔牛の革で、希少価値が高く牛革の中でも最高級と言われるものです。
キメが細かく柔らかい質感、しかしながら強度もあるのが特徴で、上質な革製品によく使用されています。
ルイ・ヴィトンのバッグでは、ノエやアルマ、スピーディなどでカーフレザーが使われています。
カウハイドレザーとは、生後2年以上の出産を経験した牝の成牛革のことを指します。
皮の厚さは雄ほどではなく、しかし仔牛の革よりも厚みと強度があり、きめ細かさや耐久性においてバランスが良く人気の高い革です。
近年のモデルでは、カウハイドレザーはノエやカプシーヌで使われています。
エキゾチックレザーとは、主に希少性の高いワニ・トカゲ・ヘビ・ダチョウ・エイなどといった動物の革のことを指します。
それぞれの動物の特徴的な紋様が印象的で存在感があるのが、一般的な皮革(牛・豚・馬・羊など)とは異なる点です。
では素材によって、どういったお手入れをすればいいでしょうか。
ここでは実際に、ルイ・ヴィトンの製品に使われている革のお手入れについて素材別に解説していきます。
ルイ・ヴィトンのバッグでは、牛革ではレザーの種類でも解説したヌメ革、カーフレーザー・カウハイドレザーが多く使われています。
ここでは、ヌメ革とカーフレザー・カウハイドレザーに分けてお手入れ方法を説明します。
ヌメ革
丈夫でしっかりした素地のヌメ革は表面加工が施されておらず、革の自然な風合いが楽しめる一方、傷や水濡れに弱いのが特徴です。
ルイ・ヴィトンのバッグでは、ヌメ革はその丈夫さから、バッグのハンドルや底部、ファスナーの引き手など力がかかりやすい部分によく使用されています。
頻度別にお手入れ方法をご紹介していきましょう。
・使用後は乾拭きをする(日常のお手入れ)
バッグを使用した後は、乾いた柔らかい布で、優しく拭き取るようにバッグの表面を乾拭きします。
簡単ですが、これでかなりの汚れを落とせます。
使った後にお手入れをすることでこまめに汚れが落ち、革を良い状態に保てます。
また、使用後の簡単なお手入れで小さな染みや傷などのトラブルを見つけることもできるでしょう。
染みや傷は大きくなる前に対処しておくと、良い状態を保てますよね。
・革製品専用のブラシでブラッシング
革製品専用の柔らかいブラシがあれば、布とあわせて使うとより効果的です。
ブラッシングで、革と革の間の溝部分に入っている不純物を掻き出したり、目では気付きづらいゴミも取り払えたりできます。
毎回の使用後でなくても、数回に一度程度ブラシをかけてあげると良いでしょう。
・防水スプレーの使用
ヌメ革は水に弱い素材で、水分を含むと染みやカビの原因にもなります。
雨の日は使用を避けたとしても、日常的に持ち歩くバッグから水分を完全に避けるのは難しいものです。
しかし防水スプレーを使うことで、完全ではなくても水分が付着しづらくなったり、水分が付いても染み込みにくくなったりします。
使う場合は、革製品・ヌメ革にも使用可能なものを選び、目立たない箇所でテストして問題ないことを確認してから使用してください。
・クリームの使用(スペシャルケアとして)
ヌメ革は使用によって乾燥が進むと、白っぽくなってきたりひび割れを起こしたりします。
その場合、革製品用のクリームやオイルをつけて適度に潤いを与えると、革の状態が良くなります。
ヌメ革の表面が特に乾燥していると感じなくても、スペシャルケアとして数ヶ月に一度クリームなどを塗り込んであげるのも良いでしょう。
乾燥を防ぎ、美しい表面を保ってくれることにも役立ちます。
なお染みやトラブルの原因になるのを防ぐため、防水スプレーと同様、必ず革製品専用のものを選ぶようにしてください。
・濡れてしまった場合
バッグが濡れてしまったらなるべく早く、毛羽立ちのない吸水性の高い白色系の乾いた布で水分を拭き取るようにします。
そのまま放置すると染みや色落ち、カビの原因になるため早い処置をおすすめします。
普段使っていると、雨の日だったり濡れた手で触れてしまったりと、バッグに水分が付かないようにするのは至難の技です。
そのため、水濡れを防ぐために雨の日は使用しないというのも一つの選択肢です。
・クリーム等でのお手入れの際の注意
公式サイトでは以下のとおり、化学薬品が含まれたミンクオイル、サドルソープ、レザーローションなどは使用しないよう謳われています。
自宅でのお手入れでは、ミンクオイル、サドルソープ、レザーローションなど、レザーが濃色に変化する物質は絶対に使用しないでください。レザーの色合いが自然に変化する前に染みが付いた場合は、無理に落とそうとせず革の色が濃くなるまで待つと、周囲の色と同化して目立たなくなります。レザーは時の経過と共に摩耗するため、上述の化学薬品がレザーの品質と全体の色合いを損なう可能性があります。
市販の革製品向けのクリーム等は、事前に使用できる対象を必ず確認するようにしましょう。
また革製品の修理やお手入れの専門店など、その道のプロのアドバイスを参考に使用するのも一つの方法です。
カーフレザー・カウハイドレザー
カーフレザー・カウハイドレザーのお手入れも、基本的にヌメ革とあまり変わりません。
お手入れの項目は以下のとおりです。
上記は、ヌメ革と同じようなお手入れをすることをおすすめします。
ヌメ革との違いは、表面加工・コーティング加工されている製品があることです。
カーフレザー・カウハイドレザーも水濡れにはあまり強くありませんが、ヴェルニのように表面がエナメル加工された製品もあります。
とはいえ、基本的なお手入れ方法は変わらないので普段からしっかりケアしておきましょう。
・表面に汚れが付いた場合
カーフレザー・カウハイドレザーに汚れが付いた場合、軽く水で湿らせた柔らかい布で拭いてください。
その際、目立たない場所でテストをしてから汚れを拭き取るようにしましょう。
製品によって加工方法が違うため、付属の取扱説明書を見てどんなお手入れが適切かも確認しながらケアしてみてください。
トアル地のお手入れ方法を解説する前に、素材について簡単に説明しておきます。
トアル地とは
トアル地は合成皮革の一種で、エジプト綿にポリ塩化ビニールを塗布しコーティングした素材のことを指します。
防水性、耐久性があり、ビニールなので弾力性にも優れているんですね。
また薬品にも強く、汚れが付きにくいのが特徴です。
一方で、ポリ塩化ビニールは水分と反応して加水分解を起こす性質を持っています。
モノグラムやダミエのバッグは、トアル地とヌメ革など天然皮革との組み合わせでできているものがほとんどです。
そのため、トアル地のお手入れについても把握しておきましょう。
お手入れ方法
トアル地は防水性・耐久性に優れているため、天然皮革よりは扱いやすいかもしれませんがお手入れは必要です。
日常的なお手入れやブラッシング、防水スプレーでの水濡れ防止対策は、これまでの牛革と同じ要領で行ってみてください。
・中性洗剤でクリーニング(数ヶ月に一度)
水で薄めた中性洗剤を柔らかい布に染み込ませ、トアル地全体を軽く叩くように拭きましょう。
こすったり摩擦を加えたりせず、優しくパッティングするように汚れを拭き取っていきます。
一通り拭き終えた後は乾いた柔らかい布で全体を拭き、残った水分を取ります。
その後は風通しのいい場所で陰干しし、バッグを完全に乾かしてください。
・水分が付いてしまった場合
トアル地は耐水性に優れてはいますが、水分が付いたらなるべく早く乾いた柔らかい布で拭き取りましょう。
そのままで長時間放置すると、染みやカビ、加水分解の性質によりベタつきの原因にもなります。
・通気性
トアル地は通気性がいいとは言えません。
また素材の説明でも触れたとおり、水分に反応して加水分解する性質を持っています。
純正の保管袋は厚いため通気が良くなく、特に湿度の高い日本での保管には向いていません。
バッグを保管する場合は薄手の不織布に入れ替え、バッグ本体やポケットに乾燥剤を入れて日の当たらない風通しのよい場所で保管するようにしましょう。
乾燥剤は、定期的に交換するとさらに効果的です。
キャンバス素材のバッグは革に比べ軽量で扱いやすい印象がありますが、お手入れ方法は変わりません。
日常的なお手入れやブラッシング、濡れてしまった場合の対応は牛革と同じようにするのが効果的です。
・防水スプレーでの水濡れ防止
防水スプレーはキャンバスにも使えます。
ただ、ヴィトンのバッグはキャンバスと革の組み合わせになっている製品がほとんどです。
キャンバス地のバッグの場合、防水スプレーに対応する素材を見て、キャンバスにも使えるかどうかを確認してから使用するようにしましょう。
・水分や汚れが付いた場合
なるべく早く、乾いた柔らかい布で拭き取るようにしてください。
他の素材と同様、拭く前に目立たない場所でテストしておくと安心です。
そのままで長時間放置すると、染みやカビの原因になります。
独特の風合いがあるエキゾチックレザーは特殊だと思われがちですが、お手入れ方法は他の皮革製品と大きく変わりません。
日常的なお手入れやブラッシング、濡れてしまった場合の対応は他の革と同じように扱います。
ただ、製品によってはツヤとカラーの吹き付けなど後付けで仕上げているものがあります。
その場合、市販のケア用品の使用はもちろん水拭きでも色ツヤが落ちてしまうことがあるため注意が必要です。
そのような仕上げの製品の注意事項として、「お手入れは乾拭きのみにしてください」と言われることもあります。
お手入れ前に、購入時に言われた説明や付属の取扱説明書で注意事項がないかを確認してみましょう。
ケア用品を使用する際は対象となる革の種類を確認した上で、必ず目立たないところでテストしてから行うようにしてください。
なお、湿った状態で放置すると染みはもちろん、色移りの原因にもなります。
これまでルイ・ヴィトンのバッグのレザーと種類、そのお手入れ方法を見てきました。
良い状態で長く愛用するには、正しく保管することも大切なポイントです。
ここでは、基本である3つの重要なポイントについて解説します。
皮革製品に共通して言えるのは、「直射日光を避けたほうがいい」ということです。
紫外線や光・熱により、バッグは人の肌と同じように日焼けします。
また革の色褪せ、乾燥やひびなどの劣化を進める原因にもなるんですね。
そのため、直射日光が当たらない場所で保管するようにしましょう。
皮革にとって乾燥は、ひび割れなどの劣化の原因になります。
一方で高温多湿の環境も、カビやニオイ、また加水分解の性質を持つトアル地にとってベタつきや劣化の原因にもなるんですね。
特に押入れなどは湿度の高いところもあるためなるべく避け、適度な湿度を保てるよう通気の良い場所に保管するようにしてください。
不織布に入れ替える
トアル地の項目でもお話したとおり、長期保管の場合は純正の袋ではなく通気性の良い不織布に入れ替えて保管することが肝心です。
製品によっては化粧箱に入っているものがありますが、箱は通気性が悪くカビの原因にもなります。
そのため箱での保管はせず、不織布に入れ替えた上で乾燥剤を使い、定期的に換気をするようにしましょう。
立てて保管する
自立するバッグは立てて保管しておくといいでしょう。
床や棚と触れる面積を少なくすることで、通気性を確保します。
主に湿気がこもらないようにするという観点から、なるべく広いスペースで保管することが理想的です。
湿度が高く狭いスペースに保管した場合、バッグの他のパーツや隣に置かれた他の製品に触れ、癒着や色移りの原因になることも。
とはいえ、必ずしも理想的な環境が確保できるとも限りません。
その場合、特に長期保管の際には「適度な湿度を保つ」でもお話したとおり、通気性の良い袋に入れ替えてください。
そして乾燥剤を使用し、定期的に取り出して風を通すことでバッグの状態がかなり良くなります。
今回は、ルイ・ヴィトンのバッグに使われているレザーの種類やお手入れ方法を中心にお話していきました。
バッグに使われているレザーにも複数の種類があり、特性も異なるためお手入れ方法も少しずつ違うことがわかりました。
特に天然皮革のヌメ革・カーフレザーなどは、水や摩擦に弱いです。
そのため使用後のこまめなお手入れが有効で、大きな傷や染みを事前に防ぐことにつながります。
日光や湿度が皮革に与える影響が大きいことも、忘れてはならないポイントです。
適切なお手入れや保管をすることで長く愛用でき、手放す場合にも高い価値が付くことになります。
お気に入りのバッグとは長く快適に付き合いたいもの。
ぜひ革の豆知識として、またお手入れの方法として参考にしてみてください。