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2023.04.29
目次
ダイバーズウォッチとは、ダイビング用の機能を有した時計のことを指します。
ロレックスのサブマリーナやオメガのシーマスターなどが有名です。
しかし防水機能があるからと言って、必ずしもダイバーズウォッチというわけではありません。一般的な腕時計をダイバーズウォッチと勘違いをして使用すると、時計が壊れてしいます。
この記事では、一般的な腕時計とダイバーズウォッチの違いや主要規格について、ダイバーズウォッチを正しく使用するための関連用語を解説します。
「自分の持っている時計は、ダイバーズウォッチなのか防水時計なのか知りたい」「ダイバーズウォッチを買うときの参考にしたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
ダイバーズウォッチとは、ダイバーが使うために必要な機能を備えた腕時計です。
一般的なダイビングでは水深40mほどで使用することが多いですが、動作によって水圧はさらに大きくかかります。そのため、水深100m以上の防水性を有しているものでないと、ダイバーズウォッチとは認定されません。
また、ダイバーズウォッチとして認められるには防水機能だけでなく逆回転防止ベゼルや、高い視認性など各種要件を満たしている必要があります。
防水機能を備えた一般的な腕時計とダイバーズウォッチの違いは、防水機能があるかどうかです。また防水機能を搭載した腕時計とダイバーズウォッチには、海に潜れるかどうかの違いがあります。
防水時計は、あくまでも日常生活における防水性は保証されていますが、海に潜ったり水中で使用したりするのには適していません。海や水中で使用する場合にはダイバーズウォッチを選ぶようにしましょう。
ダイバーズウォッチは、もともとプロの潜水士向けに作られた時計です。ダイバーの命を握るツールでもあるダイバーズウォッチには、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)などの定義や要求事項が規定されています。
ISO 6425はダイバーズの安全確保のために、ダイバーズウォッチに対して必要最低限の機能を満たすことを定義した規定項目です。1982年に規格が制定され、2018年に最新の第4版に改定されました。
具体的には、
の2点が基本となっています。そしてこの他に視認性や耐磁性、耐衝撃性などが求められています。ISO6425を厳守しているブランドには、セイコーやシチズン、ハミルトン、カルティエ、ベル&ロス、ティソなどがあります。
JIS B 7023は、日本の産業規格です。
ISOが国際的な規格に対して、JISは日本国内の産業に適用されます。ISO6425を基としており、耐塩水性、耐熱衝撃性など一部の技術内容を変更して作成されました。そのため基本的な基準はISO6425と同じになります。
DIN 8306とは、ドイツの工業規格です。グラスヒュッテ・オリジナルといったドイツのダイバーズウォッチの基準に適用されています。
ダイバーズウォッチの重要な関連用語を解説します。
飽和潜水とは、水深100mを超える潜水作業で行われる作業のことです。
深海において人が生身で潜水を行うには、酸素とヘリウムの混合ガスを体内に吸収し、身体を深海の水圧に耐えられる状態にする必要があります。
そうしなければ深海から地上に戻った際に、溶解したガスが血液や身体組織内に泡を作り、疾患や死につながってしまう減圧症に陥ってしまいます。
手順としては、ダイバーは加圧された地上のタンクに入り、身体を高圧環境に適応させます。そしてタンクと同気圧のカプセルに移動し、そのまま深海に移動、作業を行います。
しかし、ヘリウムの分子はとても小さいため、腕時計の中に入り込んでしまうことがあります。内部にヘリウムが入ったまま浮上をすると、時計が内側から破裂してしまいます。
そこで開発されたのが、時計の中に入り込んだヘリウムを外に逃がすためのヘリウムエスケープバルブです。これは一部のプロフェッショナル向け時計に搭載されています。
潜水時計は、水深100~200mまでの耐圧と使用に耐えられる時計のことです。
耐磁性や耐衝撃性、潜水時間や減圧時間を計る回転ベゼルが付いています。ボンベに圧縮空気を入れて浅海で潜水する、スキューバダイビングに使用する際に着用するのに適しています。
飽和潜水時計は、200~1000mの耐圧と水中使用ができる時計のことです。飽和潜水のために必要なヘリウムエスケープバルブや減圧バルブなど、高水圧に対応できる機能や耐圧性を備えています。
防水時計は「2~3気圧防水」「5気圧防水」など「気圧」で表示されていますが、ダイバーズウォッチでは「100m防水」「200m防水」といったように「m」で表示されています。
「10気圧」と「100m防水」は同じと考える方もおおいですが、正確に言えばこの2つの防水性は異なります。
なぜなら「気圧」はあくまでも静止状態で耐えられる気圧を示しているからです。水中で時計を動かすと、さらに強い水圧がかかるため、10気圧防水の時計を100mの水深では使用できません。
一方100m防水の時計は、100mで使用できる防水性を備えている意味になります。
日常生活における汗や雨、水仕事をする人であれば防水時計でも大丈夫ですが、スクーバダイビングをする際の着用を考えている方は、ダイバーズウォッチを選ぶようにしましょう。
防水時計には、気圧、メートル、フィートとそれぞれ表記が異なります。100フィート=30mとなります。
それぞれ下記のように対応しているので、どの程度の防水性があるのか参考にしてみてください。
汗や雨、手洗いの水しぶきなど日常生活における水滴に耐えられる
表記例:WATER RESISTANT 3 BAR、3atm、3bar、100ft
漁業や農業、食器洗いなど水仕事に耐えられる防水性能を持っています。水中に潜ったりシャワーを浴びたりするのには耐えられないため注意しましょう。
表記例: WATER RESISTANT 5 BAR、5atm、5bar、165ft
水仕事や釣り、水上スポーツに耐えられる他、素潜りにも使用できます。
表記例:WATER RESISTANT 10BAR、10atm、10bar、330ft
表示されている水深までの耐圧性と長時間の水中使用が可能です。スクーバダイビングなどで使用できます。
表記例:AIR DIVER’S 100m
表示されている水深までの耐圧性と長時間の水中使用が可能です。飽和潜水のためのエスケープバルブや減圧バルブを搭載しています。
表記例:HE-GAS DIVER’S 300m
時計のベゼル部分に刻まれたメモリと時分心を合わせることで、経過時間を読み取ることができます。
ダイバーは潜水時に残りの酸素ボンベの時間を計るため、ベゼルで潜水時間を把握することは命に関わる重要なことです。
そのためダイバーズウォッチには、潜水時にベゼルが回転しないように1方向にしか回転しないようにロックがかかる仕組みである逆回転防止ベゼルが採用されています。
スーパールミノバとは、蓄光性の夜光塗料です。
深海では、光が届かず真っ暗ななかで作業をするため、高い視認性が不可欠です。そのためダイバーズウォッチには、インデックスや針に蓄光塗料が塗られており、暗闇でも時刻や経過時間を確認できるようになっています。
これまでトリチウム夜行が使われていましたが、トリチウムの放射線物質を含んでいることや蓄光性が高いことから、近年ではスーパールミノバが一般的に使われるようになりました。
ダイバーズウォッチは、高い防水性能を維持するためにねじ込み式リューズが採用されています。
一般的な腕時計には、リューズを引っ張って出す「引き出しタイプ」が採用されています。ねじ込み式リューズは、引き出しタイプのリューズよりも気密性が高いため、内部に水が入りにくい構造になっています。
高い防水機能を持つダイバーズウォッチでも、ねじ込み式リューズをしっかりと奥まで締めなければ隙間から水が入ってしまうため、注意が必要です。
また、強く締めすぎたり間違った角度で締めたりすると、ネジ山の破損や潰れになってしまうため、ねじ込み式リューズの扱いは慎重に行いましょう。
エクステンション機能とは、簡単にブレスレットを伸ばせる機能のことです。
これにより、ダイバーズウォッチをウェットスーツの上からでも着用できるようになります。バックル部分を折りたたむタイプやスライドさせるタイプが一般的です。
サファイアガラス風防とは、多くのブランド時計に採用されているガラスのことです。
ブランドやメーカーによっては、サファイアクリスタルやサファイアクリスタルガラスと呼ばれることもあります。
人工的に作られたサファイアを使用しており、非常に硬く傷がつきにくいメリットがあります。加工が難しく価格も非常に高価なため、高級ブランドで主に使用されています。
ダイバーズウォッチは、高い水圧に耐えるためにサファイアガラス風防を採用していることが多いです。
ダイバーズウォッチの購入前には、自分の使用する用途とその時計が持つ防水性を確認する必要があります。防水性を持った時計だからといって、すべての時計が水中で使用できるとは限りません。
例えばスキューバダイビングで使用するには、空気潜水時計を選ばなければいけません。いくら防水性があると言っても、日常生活用強化防水時計では水圧に耐えられず壊れてしまいます。
購入後もダイバーズウォッチの使用には注意が必要です。水分が付いた状態でリューズやプッシュボタンを操作することは危険です。
リューズやプッシュボタンは、ムーブメントと直接つながっているため、隙間から水が入ると故障してしまいます。
時計の外部が優れた防水ケースであっても、隙間がしっかりと塞がっていなければ内部に水は入ってしまうので、気をつけましょう。
また、電池交換を自分で行ったり安い業者でオーバーホールしたりするのは、やめたほうがいいでしょう。
ダイバーズウォッチはメーカー側で防水性能をテストしていますが、自分や安い業者で行うと防水性能を保証してもらえなくなる場合があります。
今回はダイバーズウォッチについてや防水時計との違いなどを中心に解説してきました。
腕時計については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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