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2023.09.29
目次
腕時計の防水性能表示は誤解されていることがあり、表示の意味を正しく理解していないと大切な腕時計が壊れてしまう原因にも繋がります。
ということで今回は、腕時計の防水性能表示の意味や正しい見方などを中心に解説していきたいと思います。
近年の腕時計の多くは防水機能が備わっています。
機械式時計やクォーツ時計、メンズやレディース問わず防水性能があることが多いです。しかし、腕時計によって防水機能はピンキリ。防水性能を重視して時計を購入する場合には注意が必要です。
日常生活用の防水表示が腕時計に記載しているか確認する方法があります。日常生活用の防水機能が備わっている腕時計は「WATER RESISTANT」と記載がされている事が多いです。
「WR」と記載されている場合もありますが、意味は同じ。
文字盤に小さく記載されていたり、裏フタに彫られていることが多いです。ちなみに「WATER RESISTANT」とは、
の公式の防水性能表記のことで、第一種防水時計とも言います。
一般的に日常生活用の防水は静止状態で水深30mの水圧に耐えることの出来ることを指します。「水深30mもあれば水没の心配は無い?」と思いますが、30m防水では水没しないように気を付ける必要があります。
というのも「静止状態で」水深30mの水圧に耐えることが出来るというものなので、着用して腕を動かせば話は別です。そのため着用して泳ぐなどの行為は出来ず、行うと水没の恐れがあります。
あくまでも最低限の防水というもので、雨や手洗いの水しぶき程であれば耐えうる程度の防水性能です。
直接水道の水を当てたり、シャワーに当てたりなどといった行為も水圧がかかってしまうので水没の危険性があるので注意しましょう。
潜水用の時計とは一概に言えませんが、ISOの規格で定義があります。
「少なくとも水深100mの潜水に耐え、その1.25倍の水圧に耐える耐圧性(水深100mの場合は水深125m相当)があること。」「潜水時間を管理する機能を有する。」以上の条件をクリアした時計を潜水用の時計(ダイバーズウォッチ)のことを潜水用の腕時計と呼んでいます。
他にもISOの認可を取得するには以下の条件をクリアする必要があります。
耐水性能が高いだけでなく、これらの条件をクリアした腕時計をダイバーズウォッチと呼ぶのです。
そしてこのような潜水用の腕時計への表記は様々なものがあります。
ダイバーズウォッチの代表的な装置として逆回転防止ベゼルが挙げられます。逆回転防止ベゼルとはベゼルの回転を正方向のみに制限するものです。
ベゼルに記載されているメモリと分針を合わせて潜水時間を計測しますが、その際にベゼルが逆回転してしまうと実際の潜水時間よりも短く表記されてしまいます。
実際に潜水している際は潜水時間はとても重要で、すこしの誤差が命に関わります。こういった事故を防ぐためには逆回転防止ベゼルが必要不可欠です。
潜水以外の用途でも経過時間を計ることができるため、非常に便利な機能でもあります。
ヘリウムエスケープバルブとはケースのサイドにある、ヘリウムガスを外に出す装置のことです。リュウズのようなツマミを手動で解放するタイプと、自動で排出されるタイプがあります。
100m以上の潜水となると、当然ヘリウムガスを使用する必要があります。ヘリウムガスは時計内部に入り込みやすいので、そのまま浮上してしまえば圧力が上がってしまい時計の破裂に繋がります。
ヘリウムエスケープバルブがあれば潜水後の浮上を行っても、内部のヘリウムガスを排出させることで時計の破裂を防ぐことが出来るのです。
見た目がいかにも「ダイバーズウォッチ」という雰囲気になるので、本格的な高機能腕時計の印象を出すことができるのが魅力ですね。
知らない方も多いですが、ダイバーズウォッチにはエクステンションバックルという機能がついています。
エクステンションバックルとはバックルを簡単に延長する事のできる機能のことです。数センチの延長をワンタッチででき、ウエットスーツの着用時に便利な機能。
ウエットスーツを着用すれば腕回りは数センチ太くなってしまい、いちいち腕回りを調節するのはかなり手間です。
ウエットスーツを脱いでる時でも着ている時でもすぐにダイバーズウォッチを着用できるようにした機能となります。
潜水をしない人は思いつかない機能なのですが、ダイバーズウォッチに蛍光塗料は必要不可欠。深海は太陽の光が届かず、夜中のように真っ暗です。
そんな暗闇では腕時計の時間を確認することはできません。そのため腕時計の文字盤やインデックスに蛍光塗料を塗ることで暗闇でも時間を確認できるようになります。
トリチウムと呼ばれる蛍光塗料が以前は一般的でしたが、放射性物質が含まれているので廃止されました。ロレックスなどの古いタイプの物はトリチウムが使われています。
現在は多くの時計に「ルミノバ」と呼ばれる蛍光塗料が使われています。トリチウムは緑色なのに対し、ルミノバは青色。発光時間も長いのが特徴です。
2008年にはロレックスが「クロマライト」と呼ばれる蛍光塗料が開発、特許を取得しています。発光時間も2倍と高性能で、現在のロレックスのスポーツモデルに使用されています。
夜間時計を確認する事ができるので、かなり便利な装置といえるでしょう。
ねじ込み式リューズは腕時計に興味が無い人でも知られている機能ではないでしょうか。リューズをねじ込み、固定することで浸水を防ぐことができる機能です。
ダイバーズウォッチ以外にも採用されており、ロレックスでは殆どのモデルに採用されています。
ねじ込み式リューズが無いダイバーズウォッチもあるので、必須な機能ではありませんが、多くのダイバーズウォッチで使用されています。
ダイバーズウォッチは海での潜水を前提に開発されています。腕時計とは本来革ベルトが一般的ですが、革ベルトは海での使用は劣化が激しく使用はできません。
そのためラバーベルトかメタルブレスレットでなければ海で潜水する際に使用できないのです。特にラバーベルトは海での使用後のメンテナンスもしやすいので、ダイバーズウォッチにはラバーベルトが向いています。
腕時計の中には防水機能が備わっていないものもあるので注意が必要です。全く防水機能が無いため、汗や湿気、雨といった水気も故障に繋がります。
現在発売している時計ではあまり見かけませんが、年代物の時計などは要注意です。経年劣化などでパッキンが使い物にならない場合は防水機能が無くなってしまいますので、そのような時計もまた注意が必要。
普段使いで使用する場合はかなり気にかける必要があるので、水気があるシチュエーションでは時計を外す必要があるでしょう。
日常生活用の防水と潜水用の防水の違いは「潜水できるか、潜水できないか」の違いが大きいでしょう。防水性能が高くても、実際に潜水できるかは別です。
潜水用の防水性能が高くなければ実際に潜水時に着用することはできません。ただ通常時の使用では潜水用の防水機能は必要になることはあまり無いといえるでしょう。
10気圧防水と100m防水の違いは日常生活用強化防水から空気潜水用時計に変わることです。表記されている水深までの耐圧性があり、長時間の水中での使用にも耐えることができます。スキューバダイビング等での使用も可能です。
気圧とは10Mの水圧に耐えうる防水機能があることを指します。防水と全く同じわけではなく、別の表記となります。
防水は「潜水用防水」の基準で、気圧は「日常生活用強化防水」の基準です。
気圧の表記の物はマリンスポーツや潜水には適していません。
気圧の表記の物は○気圧で静止状態で~という条件がつきますが、防水の物は着用した状態で泳いでも大丈夫というものになります。
それぞれの意味を理解したうえで時計選びの参考にしてみてください。
3気圧防水は静止した状態で、水深30mの水圧に耐えることができる防水性能のことです。第一種防水時計とも呼び、かなり多くの時計で採用されています。
水深30mの防水性能ですが、あくまでも静止状態での防水。水圧がかかってしまえば、潜水していなくとも水没してしまう恐れがあります。
たとえばシャワーや水道に当てたり、着用してプールを泳いだりといった行為では水没してしまう可能性があります。
最低でも軽く水が当たる状態(手洗いや雨程度の水しぶき)に抑えましょう。
この防水機能があれば汗をかいてしまう場面などでも水没を防ぐことが出来ます。アンティークウォッチでは無い限り、最低でもこの程度の防水性能がある場合が多いです。
文字盤や裏ブタに防水性能についての記載があるので、確認してみると良いでしょう。
5気圧防水とは腕時計が静止状態にある場合で、水深50mまでの水圧に耐えることができる防水機能のことをいいます。
5気圧防水は第2種防水時計とも呼び、3気圧防水よりも多くの場面で使用する事が可能です。食器洗いなどの水仕事、釣りや農業などの作業でも水没を防ぐことができます。
ですが水中に着水することは水没の恐れがあるので控えたほうが良いでしょう。シャワーや水道などに直接当てることも控えたほうが安全です。
「 WATER RESISTANT 5BAR」「WATER 5BAR RESISTANT」「W.R.5BAR」というような記載がされている事が多いですのでチェックしてみましょう。
10気圧防水から水深100mでの防水機能を搭載しており、本格的なダイバーズウォッチと言えるでしょう。日常生活用強化防水と呼ばれ、生活でのあらゆる水に対する防水性能があります。
皿洗いや風呂掃除、洗車や釣りなどの場面や、プールや海での水泳でも耐水性能があります。また、ヨットや水上スキーなどのマリンスポーツなどにも対応しています。
しかし、直接水道やシャワーに当てると、水圧がかかりすぎで水没してしまう危険があるため、注意が必要。「お風呂でつけても大丈夫?」と聞かれることが多いですが、腕時計は温度差に強くありません。
お風呂で着用してしまえば中に水滴が溜まり、故障の原因になります。もちろんプールや海などであれば問題ありません。
防水性能があると言ってもその取扱いについては、いくつか注意が必要です。
防水性能がある腕時計でも、お風呂などのお湯につけることは厳禁です。どれほど潜水機能があり、エスケープバルブがついていても、お湯につけてしまうことで中に水滴が発生します。
水滴が発生してしまえばサビなどが発生して故障に繋がるのです。お湯以外でも、サウナなど温度差があるシチュエーションは避けましょう。
ダイバーズウォッチを海で使用した後は注意が必要です。海水には塩や砂利など水以外の物が付着する恐れがあります。
海で使用したあとは水道水などの真水で洗うようにしましょう。塩や砂利などが隙間に溜まってしまうと、故障や傷の原因につながります。
しっかりとメンテナンスすることで長く使用する事ができるようになるのです。
逆回転防止ベゼルは、長く使用していると動きが悪くなります。塩や砂利などが挟まったり、ホコリや皮脂などが入り込んでしまう事でうまく機能が働かない場合があります。
ですので定期的に注油したり、隙間の汚れを除去する様にしておきましょう。動きが悪くなってしまっていれば、無理に動かすと故障にもつながります。
そんなときは諦めて、業者に清掃を依頼するのも一つです。
ダイバーズウォッチの蛍光塗料は消耗品という事はご存知でしょうか。蛍光塗料は長く使っていると、光度が下がっていきます。
普段使いでは問題無いでしょうが、もし潜水時に着用することがあるなら最悪、命に関わる問題です。潜水で使用する事があるなら、定期的に確認しておきましょう。
メーカーで再度塗料を塗布することが出来る場合もあります。
ダイバーズウォッチといえど、水道水で直接洗わないようにしましょう。防水機能が高い時計でも、水圧が高い水道水に直接当てると水没する恐れがあります。
もし時計を洗う場合は、水を貯めて洗うようにしましょう。水圧がかかることが無くなるので、水没する恐れがありません。
ダイバーズウォッチはパッキンなどが劣化してしまうと防水機能が落ちてしまうので注意が必要です。
オーバーホールの際もメーカー以外でオーバーホールしてしまうと、類似品のパッキンを使用されて防水機能が低下する場合があります。
きちんとメーカーでオーバーホールを依頼する事で、防水機能を維持する事ができるのです。
ねじ込み式リューズはダイバーズウォッチで多く使われている機能です。耐水性を高める機能なので、非常に便利ですがデメリットがあります。
ねじ込み式リューズが開いている状態では、水分が入り込んでしまう可能性があったりします。
そのため、ねじ込み式リューズで調整する場合は乾燥している時にしましょう。また、濡れていると簡単に水没してしまうので注意が必要です。
中古で購入する場合などは、メーカー外のパッキンが使用されている場合があるため気を付ける必要があります。
空気潜水時計は100~200mまでの耐水性があり、水中での長時間使用に耐えられる防水機能があります。非常に高度な防水機能で普段使い用というよりも、プロ向けの本格的なものといえるでしょう。
スキューバダイビングなどしない人には正直必要のない時計の機能ですが、時計としては非常に高性能な防水時計。
防水性能の表示は「AIR DIVER’S 100m」と記載されることもあります。
使用して使いきれる機能ではないですが、所有感はかなり高い機能といえるでしょう。
飽和潜水時計は空気潜水時計をさらに超える防水性能のことを指します。水深200~1000mまで耐えられ、防水時計としては最高クラスの機能のことです。
先ほどの空気潜水時計は浅海など一般レベルでの潜水に使用する時計です。ですが今回の飽和潜水時計は深海などの潜水といった本格的な潜水時にも使用可能な時計となります。
日常で使用する時計とは大きく異なり、空気潜水時計よりも使いこなすことが難しい防水時計です。
時計の防水機能としては最高レベルの性能ですので、コレクターとしてコレクションするという意味では最高の時計ではないでしょうか。
防水性能の表示が「HE-GAS DIVER’S 300m」のように記載されることが多いです。
デザインもかなり分厚く大きい時計が多いので、男らしいデザインの時計が好きな方にもおすすめです。
今回は、腕時計の防水性能表示の意味や正しい見方などを中心に解説してきました。
腕時計については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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