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高級ブランド腕時計にありがちな故障原因と対策を解説します

2022.07.30

ブランド腕時計の購入を少しためらってしまうデメリットの一つに、故障問題があると思います。

せっかく手に入れた高級ブランド腕時計が、止まったり動かなくなったりすると、そのショックは計り知れません。

高級ブランド腕時計であっても、精密機械であり、適切な使い方をしていないと故障の原因になってしまいます。

しかし、中には気づかずに時計の故障につながる使い方をしている人も多くいます。

ということでこの記事では、ブランド腕時計のよくある故障原因とその対策を紹介します。

「買ったばかりなのに腕時計の様子がおかしい」「時計の動作が以前と違う」と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ブランド腕時計のよくある故障原因について

高級ブランド腕時計が故障してしまう原因は大きく次の5つがあります。

  • オーバーホールを長年していない
  • 強力な磁気を発生させる機器の近くに置く
  • 高級腕時計を付けたまま入浴やシャワーを浴びる
  • 誤ったゼンマイの巻き上げ方をしている
  • 夜中にカレンダー操作を行う

それぞれ見ていきましょう。

オーバーホールを長年していない

高級ブランド腕時計は、多数の部品が組み合わさることによって動いています。

部品の一部には、専用の潤滑油が塗られていますが、定期的に塗り直さないと乾いてしまったり劣化したりして、他の部品に悪影響を及ぼしてしまいます。

そのため高級ブランド腕時計には、定期的なオーバーホールが不可欠です。

オーバーホールでは油を塗り直すだけでなく、すべての部品を分解し、洗浄を行います。そして状態が悪い部品は交換することで、時計をよい状態に保つことができます。

一般的にオーバーホールの推奨期間は、機械式時計で3~5年に一度、クォーツ式時計で4年に一度と言われています。

「腕時計が動かなくなってしまった」という方の中には、10年以上オーバーホールを行っていないという方もいます。オーバーホールをしないでいると、部品の一つの故障が隣り合う部品にまで影響し、故障が全体に広がってしまいます。

最悪の場合、修理ができないほどの故障になってしまうこともあるため、定期的にオーバーホールを行うようにしましょう。

強力な磁気を発生させる機器の近くに置く

時計の遅れや進みが極端にひどい場合に考えられるのが「磁気帯び」です。

磁気帯びとは、時計のムーブメントが磁化してしまった状態です。部品同士が磁石のように、くっつこうとしたり反発したりするため、正常な動きができずに時刻がずれてしまいます。

磁気帯びの原因は、強力な磁気を発生させる機器の近くに時計を放置してしまうことです。

この強力な磁気を発生させる機器とは、スマートフォンやパソコン、電子レンジ、カバンのマグネット式の留具、充電器など日常にたくさんある製品です。

そのため無意識に時計を近くに置いてしまい、知らない間に時計が磁気帯びしてしまうことが多くあります。電化製品の近くには時計を放置しないように気をつけましょう。

腕時計を付けたまま入浴やシャワーを浴びる

腕時計にとって、水気は大敵です。たまに「防水時計だから時計を付けたままでもお風呂に入っても大丈夫」という意見を耳にしますが、これは大きな誤り。

高い防水性能を備えている時計も、「熱」には耐えられるようには作られていません。時計の防水性能を司るパッキンは、熱に弱いため変形・劣化し本体の防水性が保てなくなってしまいます。

時計内部に水気が入ってしまうと、ムーブメントや部品の錆びや腐食してしまい故障につながってしまいます。

時計のガラスの内側に曇りが出てしばらく経っても消えない場合は、時計内部に水が入り込んでいる可能性が高いです。

早急に修理しないと、故障してしまうためなるべく早く時計修理店へ持ち込むようにしましょう。

誤ったゼンマイの巻き上げ方をしている

機械式時計では、誤ったゼンマイの巻き上げ方をすることで、故障の原因となってしまうことがあります。

リューズを使って手でゼンマイを巻き上げる手巻き式時計では、ゼンマイがすべて巻き上がるとそれ以上巻き上がらないようになる「巻き止まり」が起こります。

しかしこの巻き止まりが起こっているにもかかわらず無理やり巻き上げようとすると、無理な力が加わりゼンマイが千切れてしまいます。

手巻き式時計は、必要以上に巻き上げないように注意が必要です。またローターが回転してゼンマイが巻き上がる自動巻き時計は、リューズでゼンマイを巻き上げるのは避けたほうが良いと言われています。

完全にゼンマイが解かれているのであれば、補助的に手巻きでゼンマイを巻き上げたほうが良いですが、そうでない場合はなるべくローターでゼンマイを巻き上げるようにしましょう。

また、ローターで巻き上げる際も激しく時計を振るようなことは絶対にしないようにしましょう。強い衝撃も時計の故障の原因となります。

自動巻き時計は少しの振動でもローターが巻き上がるようになっているため、優しく振って巻き上げるか、ゼンマイ巻き上げ機能がついたウォッチワインダーで保管するようにしましょう。

夜中にカレンダー操作を行う

日付表示、デイト機能がついている時計でやりがちなのが、「夜中にカレンダー変更を行う」ことですが、これは時計の故障の原因となります。

カレンダー機能のついた時計は、日付ディスクと専用のツメが組み合わさることによって表示が切り替わっています。

日付が切り替わる12時に近づくと、この2つの部品の距離が近くなるため、無理に操作を行うと大きな負担がかかり部品の破損につながってしまいます。

修理不可な故障について

高級ブランド腕時計であっても、下記のような故障の場合、修理を断られてしまいます。

ムーブメントの錆びがひどい

時計内部に水が入り込んでしまい、長年放置されてしまうと修理不可の可能性が高くなります。

高級ブランド腕時計のムーブメントの多くは金属でできているため、水気を放置すると錆びや腐食が発生します。

すぐに水気の除去や部品の交換といった対応をすれば問題ありませんが、長期間放置して錆びや腐食がムーブメント全体に広がってしまうとムーブメント自体を交換しなければいけません。

とくに海水の場合、塩分を含んでいるため通常の水分よりも錆びの広がりは早いため、早急な修理が必要です。

ダイバーズウォッチであっても、しっかりとリューズが締まっていないと内部に海水が入ってしまいます。時計内部に海水が入ってしまった場合は、すぐに修理を依頼するようにしましょう。

ブランドの部品供給が終了している

多くのブランドでは、部品の供給には期限が決まっています。一般的には該当時計の製造が終了してから10~25年前後が保有期間と言われており、この期間をすぎると修理を断られてしまいます。

有名なところでは、ロレックスは部品の保管期間が25年のため、ヴィンテージモデルの修理は正規店では断られてしまいます。

また、純正品以外の部品が使われているとブランドでは修理不可になってしまうため、民間の時計修理店に依頼する必要があります。

クォーツ時計の対応している電子回路がない

クォーツ式時計は、機械式時計比べて寿命が短いと言われています。というのも、動力源である電子回路の寿命が20~30年と言われているからです。

一部の高級ブランドでは電子回路の永久保証を行っていますが、多くのブランドでは数十年経つと電子回路の製造を終了してしまいます。

そのため、電子回路の寿命がきてしまい交換したくても、対応している電子回路がなくて修理不可となってしまうことが多々あります。

そのためクォーツ式時計は、永久保証を謳っている高級ブランド以外では、電子回路の修理ができないことを頭に入れておきましょう。

高級ブランド腕時計を壊さないためにできる対策について

せっかく高価なブランド腕時計を買ったのであれば、長い間使いたいですよね。ここでは、高級ブランド腕時計を壊さないためにできる対策を5つ紹介します。

定期的にオーバーホールを行う

1つ目は定期的にオーバーホールを行うことです。

前述の通り、オーバーホールは時計のムーブメントを分解し、部品を一つ一つ洗浄し不具合がある部品を交換する作業のことです。

時計は正常に動いているように見えても、内部では部品の不具合が発生していることが多々あります。

その不具合を早いうちに発見し、取り除くことで故障を未然に防ぐことができるため、時計が問題なく動いていても5年に一度はオーバーホールを行うようにしましょう。

磁気の近くに置かない

時計を磁気帯びさせないために、強い磁気を発するスマートフォンやパソコン、スピーカー、電子レンジ、カバンの留具などの製品の近くに時計を置かないようにしましょう。

磁気帯びしてしまった時計は、極端な時刻の遅れや進みが発生し、専門の器具で磁気抜きをしないと元の状態に戻りません。

時計の故障を防ぐためにも磁気の近くに置かないくせをつけておくようにしましょう。

腕時計を付けたまま入浴やシャワーはしない

高い防水性能を備えたダイバーズウォッチであっても、着用したまま風呂や温泉への入浴、シャワーを浴びる行為は厳禁です。

防水時計は、時計に水がかかることや海や水に潜ることを想定して作られているため、熱や強い直接かかる水圧には、耐えられない場合があります。

そのため必ず入浴時やシャワーの際は、時計を外すように心がけましょう。ダイビングやアクアスポーツなどの強い水圧や海水にふれる場合は、ダイバーズウォッチを着用するようにしましょう。

巻き上げに気をつける

手巻き式時計では巻き止まりに、自動巻き時計では強く振ったりむやみにリューズで巻き上げたりしないようにしましょう。

機械式時計の動力であるゼンマイは髪の毛よりも細い金属でできている繊細な部品です。無理に巻き上げようとしてしまうと千切れてしまうため、巻き上げは慎重に行うようにしましょう。

また、自動巻き時計のローターは重りが回転して巻き上がる仕組みですが、激しく振ったり強い衝撃走ったりすると、ローターの軸が破損し取れてしまうことがあります。

そのため、ゼンマイを巻き上げる際も強く振らずに優しく取り扱うようにしましょう。

カレンダーの操作禁止時間帯を知る

日付表示、デイト表示がある時計は、カレンダーの操作時間に注意が必要です。

前述の通り、部品が日付が切り替わるのに向けて、少しずつ動いているため無理に動かすと部品に負担がかかり故障につながってしまいます。

そのため20時~4時の時刻を指している間は、カレンダーの操作を行わないようにしましょう。

まとめ

今回は高級ブランド腕時計にありがちな故障原因と対策について解説してきました。

ブランド腕時計については、まだまだ知っておきたいあります。

ぜひ、関連記事も読んで、参考にしてみてください。